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重要性増すCIOの役割

重要性増すCIOの役割 業務改革や内部統制

国際競争の激化するなか、企業の取り組むべき経営課題は一層広範囲かつ複雑になってきている。内部統制や生産性向上など、業務革新の最も重要なツールとして、いまやITは経営戦略と不可分だ。業務全体の可視化・最適化など、情報活用イノベーションをリードする最高情報統括責任者(CIO)の重要性は、近年ますます高まってきている。

1.IT経営戦略の中軸を担う

日本では、CIOを設置している企業の4割が、平均的米国企業並みに専任CIOを置くようになった。CIOの前職は、まだ圧倒的に情報システム部門が中心だが、経営企画及び財務経験者も合計3割を占めるに至る。特に、金融・保険業界では、CIOの設置率が7割と高く、IT経営戦略の重要性がうかがえる。さらに、企業規模別では、従業員数500人以上の大企業で6割、人材不足に悩む中小企業でも3割がCIOを設置するようになっている。CIOの業務報告先は3分の2が経営者になっており、以前に比べて組織内の地位向上が著しい。また金融商品取引法対策でCIOを支えるITスタッフを増員する企業が急増していることも特徴だ。同法の2007年9月施行によって、上場企業、連結子会社など数万社が検査対象となり、その数だけのCIO人材が必要になろう。行政CIOも急増中だ。

2.全体の最適化追求

CIOは、第三世代を迎えている。インターネット革命による業務革新の第一世代、電子政府の国策的な拡充による第二世代に続き、金融商品取引法のIT内部統制への対応による第三世代が誕生している。今後は企業価値最大化へ向けた「攻めのIT経営」でCIOの重要性が増していく。組織内の異なる部署間の相互接続や標準化がさらに進み、グローバル標準の展開へと拡大している。国際ビジネス展開と国際競争の激化により、CIOの国際的視点はますます重要になっていくだろう。
例えば、企業や官公庁で分散する情報システムを統合・連携する際の考え方である「EA(エンタープライズ・アーキテクチャー)と呼ばれるモデルが普及している。業務及び情報システムの全体像を「見える化」することによって全体最適を追求する国際標準手法だ。経営とITの橋渡しとしてのCIOの役割は、IT投資の最適配分であり、ビジネスニーズとの連携を実現するために情報管理から情報共有、情報活用へと進化していく。

3.経営とITの専門家

一方、米国では、行政の情報化に年間7兆円が支出されており、政府の専任CIOの役割広範化は、予算規模の拡大と比例する。民間では、業務報告先は経営者が大半を占め、また、経営委員会メンバーのCIOが8割を占める。経営が分かるIT専門家あるいは経営者がITを熟知している両パターンが戦略的なIT経営者モデルとして推進されている。米国のCIOはセキュリティやプロジェクト管理などを含めたビジネス戦略を重視。欧州では、透明なe―ガバナンスの進化、イノベーションの牽引もCIOの役割とみなされている。

4.幅広い視野で変革

次世代CIOは「インフォーメーション(情報)」「インテリジェンス(諜報分析)」「イノベーション(革新)「インベストメント(投資)」の四つの「I」の各領域で、複合的組織を横断的に統合する変革力と指導力を発揮できる人材であるべきだ。
米国では投資最適化の視点で、従来のITマネジメント手法にイノベーション志向のビジネスモデルを駆使して標準化した大学研修が盛んだ。欧州では変革型CIOの機能強化がITビジネスリーダー育成の目玉である。こうした経験を積み、幅広い視野と的確な判断力を持つCIOこそが、組織のさらなる競争力向上を実現できるのだ。
日本でも近い将来、企業や行政以外に病院や大学など、多くの組織でCIOが必要となろう。複合的で高度な育成プログラムが、より広く普及していくことが望まれる。質の高いCIO,IT人材を育成・維持するためにCIO資格化も必要だろう。
世界トップクラスのCIO人材育成の仕組みが構築されれば、さまざまな分野で戦略的な情報活用が進む。我が国の国際競争力強化のためにも、今こそ産官学の力を結集して高度IT人材の育成に取り組まなければならない。

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