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中国、韓国、シンガポール、 グローバル人材育成の仕方

中国人エリートは皆、米国を目指す 幼少からお受験漬け 最終目標は「米国留学」

中国随一の名門校、北京大学の学部学生に卒業後の進路を尋ねると、「米国に留学する」と話す。
今や世界第2位の経済大国となった中国は、学術分野でも猛烈な勢いで先進国を追い上げる。国別の学術論文の本数は(英トムソン・ロイター社調べ)、中国では1998年に2万1098だったものが、2008年には10万4157へと約5倍に増えた。
日本は同じ期間、6万0347から6万9300へと緩やかな増加に留まった。日本は98年に米国に次いで2位の地位にあったが、一方の中国は9位から2位へと躍進した。
世界トップ200大学では、10年には中国の大学は6校がランクインした。ちなみに日本は5校だった。
中国の大学ピラミッドの頂点に立つ北京大学の学生はひたすら勉強漬けの生活を送る。理工系の名門である清華大では学部卒業生の4割が留学する。
国の進学熱は非常に高い。幼稚園から始まる。

音楽、スポーツも必須、英語は出来て当たり前

塾通いの子供たちの最終目標は北京大か清華大。一流大学に進学するためには、全国統一試験の成績が高いだけではなく、音楽やスポーツの面でも優秀でなければならない。受験競争に勝ち残り名門大学には行ったからといって、ゆとりが生まれるわけではない。
英語はで着て当たり前。留学や大学院進学、就職のために英語に励む。

研究者を中国に呼び戻せ

今年2月、中国の理系研究者の間で話題となったのは物理研究で先端を行く、中国科学院物理研究所の王恩可教授が、北京大学物理学院長に異動したことだ。
外国で学ぶ中国人留学生は米国を中心におよそ50万人余り。今では世界最大の「留学生輸出国」で、それが研究のすそ野を支えている。
北京大の年間の研究費は20億元(約240億円)で、日本や欧米大学に比べると、とりわけ大きな金額ではない。だが、人件費が数分の1であることを考えると、実際には潤沢だ。これとは別に、国家プロジェクトに応じて、国直属の研究機関や各省庁から配分される研究費もある。

大学のあり方には不満の声

熾烈な受験競争を経て海外の大学・大学院に留学。そのうえで国内に人材を戻すという中国のやり方は、一定の成果を上げてきた。
だが、清華大経営管理学院(ビジネススクール)の李宏彬教授は、「中国ではイノベティブな人材を生んでいない」と危機感を抱く。北京大や清華大の学部卒業生の進路希望先ベスト3は、留学、外資、国営の巨大企業だ。本当の意味で社会にイノベーションをもたらす人材を供給できていないというのが、李教授の見方だ。
大学で与えられた課題をこなすだけ、あとは英語を身につければそれでよい、とする風潮には大学関係者からも懸念する声がある。李教授は「海外に留学することがゴールになってしまっている。私の周りでもそうだし、政府の官僚も皆、そうしている」と語る。
中国の大学では、組織トップでる学長の上に、大学の共産党総書記がいる。エリート養成機関である大学は、当然ながら共産党中央委員会の強い統制下にある。学長も、教育や研究の経験よりも、文部行政を円滑に進める能力が重視され、官僚が任命されることが多い。
きょう生きや学術の分野でも存在感を強める中国。経済力に比例するようにその動きは加速して行くだろう。しかし、真に独創的で自由な研究がされているか、心ある大学人が懸念しているのも事実である。


「ノーベル賞」が目標 ポスコがつくった韓国浦項工科大学

韓国東南部、日本海に面する工業都市・浦項。ここに、学生数約3300人の浦項工科大学(POSTECH)がある。小規模な大学、しかも開学から20年ちょっとにもかかわらず、「ノーベル賞」を口にするほどの自信。それがポステックだ。
2010年の世界ランキングでは、韓国勢は4校が200位以内に入ったが、ポステックは国内ライバル校を抑え世界28位。韓国科学技術院(KAIST)が79位、国立ソウル大学が100位、私立の延世大学が190位だった。
ポステックは、世界最先端の研究機器を相次いで導入する一方、同じく世界最先端の研究所との提携も果敢に進める。同大の目標は、米国のカリフォルニア工科大学やMIT、スタンフォード大学に追い付くことだ。

ポスコの支援受け人材獲得に全力

ポステックは世界的鉄鋼会社のポスコが支援し、1986年に設立された。入学金はほとんど免除。1学期分の学費は269万ウォン(約19万円)だが、平均レベルの点数を取れば国費奨学生となり授業料は全額免除される。一方で、学生1人当たりに換算した大学側の教育支出は約6700万ウォン(約470万円)と、ソウル大学やKAISTの2倍。語学研修にも熱心で、8割の学生が在籍中に1~2回は外国の大学で授業を受ける

「潜在力は点数に出ない」独自の入試制度で選抜

ポステックでは8人の「専門査定官」と教授からなる「教授査定官」に加え、学生も査定官を務める。
国際化では、「韓国人の学生だけで世界最高の工科大学をつくることは幻想」(白総長)だとし、09年には英語公用化キャンパスを宣言。大学院では97%が英語によって行われている。
白総長は「電子工学や機械工学、材料工学、物理学などの大部分は、英語によって学問体系ができている。であれば、最初から本来の意味で理解した方がいい」と説明する。今年9月に白総長は任期満了を迎えるが、「優秀な教授陣が浦項に揃った。多彩・多能な後輩たちがノーベル賞に挑戦できる場を築き上げている」と自信満々だ。


過熱する韓国の英才教育 鉄は熱いうちに打て 名門高校の超スパルタ
韓国科学英才学校

韓国屈指のエリート校は、韓国第二の都市、釜山市内郊外にある。同校は英才教育振興法により02年、韓国で初めて英才高校として指定された。
09年には、理工系の名門国立大学、KAISTの付属校となった。ここ数年では毎年15=20名が海外の有力大学へ進学している。
高い進学率を誇るが、従来の詰込み型ではない。「本校の目的は、特別な才能を持っている英才=生徒たちの潜在能力を伸ばして、未来の科学者を育てること」(李教頭)と言うように、授業のほかに相違研究活動が行われ、生徒の創意力を伸ばすことに重きが置かれている。

韓国科学英才学校の主な進学先
海外大学24人合格(複数合格数含む)

カリフォルニア工科大3人、コロンビア大2人、スタンフォード大1人、イェ―ル大1人、東京大2人、浦項工科大5人、KAIST(韓国科学技術院)104人、ソウル大25人

英語を猛特訓 年50作品を読破
大元外国語高校

釜山に理系の雄あれば、人文の雄は、ソウルの大元外国語高校だ。
07年11月、Waal Street Journal「ハーバードのどうやって入るのか」の中で、ハーバード、プリンストン等米国上位8大学への進学実績で、米国の高校に並び、13位に入った。
特殊目的校と言われる外国語高校で、もともと卒業生の約3分の2が国内の名門SKY(ソウル大、高麗大、延世大)に進む韓国内でも断トツの進学校である。
GLP(グローバルリーダープログラム、DGL(テウォングローバルリーダー)などを設け、海外の名門大学に入学を果たしている。
90年代半ばに教区の劣化が指摘され「各分野で才能のある学生を早期に発掘し、育成することを目的」として00年に制定されたのが英教法だ。これにより国立の韓国科学英才学校が誕生し、同種の英才学校が現在では合計4校ある。
特殊目的校、英才高入学のための塾を運営し、韓国最大規模の生徒を抱える「ハヌル教育」の林成浩代表理事が背景をこう解説する。
「英教法の制定は韓国の教育界のターニングポイントだった。早いうちに才能を発掘して育てるという意識が広がり、教育の低年齢化が始まった。ここの塾でも、小学校入学前の生徒が3万人いる。小学校に上がる前に小学4年生程度の国語力を身につけさせ、英語は中学1年の水準まで教えている。小学校で海外留学させることの普通の光景だ」
こうして教育を受けた子供たちが特殊目的校、英才校へと進んでいく。鉄は熱いうちに打てとはいうが、韓国での教育競争の舞台は低年齢層に移っている。

大元外国語高校の主な進学先
海外大学112人合格

スタンフォード大5人、コーネル大12人、オックスフォード大3人、ハーバード大1人、イェ―ル大1人、ソウル大70人、高麗大113人、延世大139人


知的立国への邁進するシンガポール トップ人材を招へい アメとムチで論文競争

一切の天然資源を持たず、交易と産業によっては点を遂げてきた人口500万人のシンガポールは、2010年、国民一人当たりのGDPが日本を超え4万3000ドルに達した。同年の経済成長率は14.7%。それでも、国家の指導者たちがつねに国民に対し、「how to survive」(如何に生き残っていくか)と語りかけるお国柄だ。
「資源の乏しいシンガポールのような小国にとって、人材は決定的な要素と言える」。シンガポール建国の父、リー・クアンユーはこう語った。人材は「最大の資源」として重視され、大学教育や研究も国家生存に役立つ人材養成の手段と位置付けた。
シンガポールの教育制度で国策大学の役割を担うのがシンガポール唯一の総合大学、シンガポール国立大学(NUS)である。理工系の南洋理工大学、経営管理を学ぶシンガポール・マネジメント大学などもあるが、学部・院生合わせて3万人を超えるNUSの存在感は抜きんでている。国家をリードする「Best and Brightest」を育てることを目的に、政府の強い影響の下、運営されている。
NUSの存在理由は「シンガポールブランド」の体現と、優秀な研究者による研究成果を、国家の産業振興に役立てることに尽きる。NUSが高いレベルにあるほど、シンガポールのイメージが高まり、優秀な研究者が集める―――という図式だ。世界大学ランキングでは34位と言う好位置につけている。
教員は1年に一度、自らの研究と教育に達成度をリポートして学部長に報告する。教員の雇用も6年ごとに見直される。教員たちは業績を積み上げようと必死に論文を書き、結果的に大学ランキングの向上に貢献する仕組みだ。シンガポールは早い段階から優秀な人材を養成する教育制度で知られているが、最優秀レベルの学生は手厚い奨学金が与えられ、将来エリートとなることを約束されている。NUSの教員は大学の指示に基づき、子のエリート候補の高校生に、専門テーマについての個人レッスンを行う。国家の教育制度への貢献が理由だが、大学教授が仕事として高校生を指導する光景は日本ではまず考えられない。
一流の人材を集めることにもシンガポールは熱意を注ぐ。特に産業振興に繋がる科学技術については、有能な研究者を「好待遇と優良な研究環境」の提供との引き換えに、世界中からピンポイントでヘッドハンティングしている。

外国人頭脳の獲得に力を入れるーシンガポールの研究者数と外国人の割合

総研究者数(万人) 外国人研究者の割合
03年 18000人 18%
06年 22000人 15%
09年 27000人 19%