エンジニアの外資系転職・求人はキャリアVテクノロジー
スマートフォン・エコノミー ジョブズ氏の予言:パソコン時代に終止符

「パソコンはまもなくデジタルライフの主役でなくなる」。6月6日、米アップルCEOの素ティブ・ジョブズは、米サンフランシスコで開いた新サービスの発表会で「ポストPC時代」の到来を告げた。
能力が大幅向上
四半世紀前、パソコンを世に送り出したのは他ならぬジョブズだ。アップルを興し、現在のパソコンの原型とされる「マッキントッシュ」を1984年に発売した。以来、パソコンは常に人々のデジタルライフの中心にあった。
だがスマートフォンの登場で状況が変わった。最新のスマホに入っているCPUの処理速度は2ギガヘルツ。10年前の大型汎用コンピュータの3倍だ。
アップルが今秋に始める新サービス「iCloud」は、ネット経由でソフトや情報システムを利用する「クラウドコンピューティング」でスマホとインターネットを直結。今までのパソコンに保存していた音楽、映像、ゲームのソフトはすべてクラウドに預けられ「パソコン抜き」が現実味を帯びる。


部品、日本製4割

パソコンからスマホへ。変化の波に乗ったのは日本の電子部品メーカーだ。旭化成はスマホの道案内機能などに欠かせない「電子コンパス」という部品で世界シェア8割。必要な電波信号を取り出す表面弾性波フィルターは村田製作所とTDKで世界市場の7割を占める。「スマホ部品の役4割は日本製」とされる。
乗り遅れたのが電機大手。「中核の液晶事業で4年連続で特別損失が出るとはどういうことだ」。6月、シャープが開いた株主総会で株主が経営陣を問い詰めた。2008年度から11年度計画までの特損は計1000億円を超える。
打開に向けたシャープは液晶TVの代名詞だった亀山工場のパネル生産設備をスマホで使う中小型用に改造する。テレビ事業で3期連続の赤字が続くパナソニックは4月の事業説明会で「投資判断見通しが極めて甘かった」とほぞをかんだ。
東芝、ソニー、日立3社は官民ファンドの産業革新機構から約2千億円の出資を受け、液晶パネル事業を統合する。「スマホ向けパネルでこれ以上遅れるわけにはいかない」との悲壮感が漂う。
ジョブズ氏は2度の手術を経て11年1月から3度目の休養に入っている。6月の発表会では舞台を上り下りする際に足元がふらつく場面もあった。だが希代の戦略家が描くスマホの未来図は、四半世紀前と同じように日本を含む世界のIT、電機企業を翻弄している。